著:塩野七生
最後の努力 ローマ人の物語 13ついに終焉が見えてきた『ローマ人の物語』
研究者によっては【最後の】ローマ皇帝と評されるディオクレティアヌスと【大帝】と称されるコンスタンティヌスが主人公である。
ディオクレティアヌスもコンスタンティヌスも無能な人間ではない。ディオクレティアヌスは四頭政などの新しいシステムを導入し、蛮族の進入を撃退した皇帝であるし、コンスタンティヌスも大帝の名の通り軍才に恵まれており、蛮族撃退と分裂状態だったローマ帝国を統一した。
(コンスタンティヌスが大帝と呼ばれるわけは別にあるが)
だが、その優秀な人物が皇帝にいてもローマ帝国の衰退は止められなかったのである。むしろ彼らが断行した改革がローマの衰退を押し進めたケースもある。
ダメになるときというのは、そういうものだ。傾いた家を直そうとしても、根本となる土台が壊れては、もはやどうしようもない。
いくら優れた改革をなそうとも、ローマ自体が終焉に向かっていく流れには逆らえない。
歴史の流れの非情さ、というのを感じる一編。
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