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ジョッキー

期待の若手



(過去ログ転載)
所属厩舎の窮乏をすくうため、身を引き貧乏フリー騎手となった中島八弥。八弥にまわってくる乗り馬は問題がある馬ばかり。しかし八弥は、信じるのは自分の腕一本という兄弟子糺健一の言葉を胸にターフを駆け抜ける。ある日、八弥にオウショウサンデーという素質馬への騎乗チャンスがめぐってくる。デビュー戦を勝ったオウショウサンデーの素晴らしさに八弥は感激するが、オーナー伊能の言葉に疑問を抱いてしまう。八弥の運命や如何に。

八弥はいつまでも代役だった。糺に逃げられて勝負を挑むことも出来なかった。

ジョッキー
松樹 剛史
集英社 2005-01


by G-Tools

第14回小説すばる新人賞受賞作。

競馬好き、それも競馬の裏側、厩舎の裏事情や人間関係などに興味がある者にはおもしろい作品だろう。
一章ごとに八弥が乗る馬が変わり、そこに競馬界の知られざるエピソードが挿入されている。競馬界に興味がある人には、興味深く、おもしろい。


本書は、八弥とその兄弟子糺との関係を素にした縦糸に、毎章ごとの問題のある馬を乗りこなす八弥のレースが横糸となっている構成になっている。
構成、登場人物ともよく考えていし、取材も十分したのだろう、競馬界のエピソードもおもしろい。
これがデビュー作であり、しかも若干24歳(25か?)ということを考えると、よく出来た作品である。

ほんとうに良く出来た作品だ。

だが、この新人の次回作を是非読みたいかというと、そこまでは思わない。
確かによく出来ていると思うが、話の本筋、糺と八弥との物語が弱いのだ。
構成はよくできている。が、それだけである。
物語に力強さがない。
読んでいて、この物語の台本が透けて見えてしまうのだ。
話がワンパターンだといっているのではない。
たとえば、ラストで主人公が過去と向き合い過去を清算するのだが、主人公がそう決心するだけの説得力がまったく感じられない。
描写力が足りない、とでもいうべきだろうか。
ここらへんは若い著者にそこまで求めるのは酷というものか。


ドラフト一位で入団した高校生ピッチャーのようなものだろうか。
一級品のスライダーを持っていて制球もよく、良素材であるが、いかんせん体の線が細くそのままではプロでは生き残れない。
もっとパワーアップして力のあるまっすぐがほしい。
これが、現在の松樹剛史への評価である。

ぜひ筋肉をつけて、よく出来ただけではなく力強い作品を読みたいものだ。

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