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パンプキン・シザーズ

帝国と共和国との戦争が突然の停戦協定により静まって3年。まだ帝国の内部には戦争の傷跡が生々しく残っていた。軍は、帝国の復興と予算獲得のため、人気取り部署として戦災復興部隊・情報三課を設立する。物語は情報三課所属の十三貴族次期当主アリス・L・マルヴィン少尉と存在しない部隊901対戦車猟兵部隊ゲシュペント・イェーガーに所属していたランデル・オーランド伍長が出会うところから始まる。

正しさと寂しさと

やがて失うものに意味がないのなら
あなたの命もまた無意味でしょう

時か 病か 刃か
いずれは奪われる

ならば今すぐ死にますか
同じことです

Pumpkin Scissors 3 (3) Pumpkin Scissors 3 (3)
岩永 亮太郎 (2005/03/17)
講談社

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島本和彦が同人誌で書いてた話だけど、「もう逃げない」ってセリフが一時期はやって、あのセリフを説得力を持って言わすためには、それまでその登場人物は徹底的に逃げていなくちゃいけない。逃げているからこそ、最後に「もう逃げない」って言うことがドラマになるのだと。
読んだとき、思わずひざポンだった。どうりでヘタレ主人公が多いのか。ヘタレ主人公が徹底的にヘタレ。でも最後にもうヘタレじゃない、と。確かにドラマの原型ですね。

ま、そういうドラマは嫌いじゃないんですが(ビルトゥングス・ロマンは大好き)、主人公はかっこよくいて欲しいなと思う。ただ、最初からかっこいい主人公だとドラマを作るのが難しいんでしょうけど。JOJOの奇妙の冒険とか大好きなもんで、そういうマンガ読むとすっごい幸せになります。

で、このマンガの主人公はいまだに伍長か少尉か知らないんですけど、たぶん少尉なんだろうな、と思っております。少尉の物語っぽい。でヘタレ主人公じゃないんですよね。悩みも落ち込みもするけど、ヘタレではないわけです。これ買っても私以外読まないだろうなぁ、と思いつつも5巻まで一気買いしてきたのは、ヘタレじゃない主人公に惹かれたからなわけです。
例えば1巻の第2話で、戦災復興として陥落したトンネルの復旧を試みるのですが、工員として当てにしていた近隣の村に協力を拒否されます。貴族でもある少尉が、我々も共に働くからと頼むのですが、にべもなく断られます。ここで、共に働くといった人の情、善意での問題解決が否定されます。何もできない主人公が汗を流してがんばり、それが周りの人に認められ問題が解決する、といったドラマは、この物語のおける有効な解決手段ではないのです。
悩む主人公に伍長が呟きます。

この国は酷いですね
みんな〝戦災〟っていう病気に冒されて苦しんでいる…

患者は医者に……
自分と同じ病気に罹って欲しいと思うでしょうか

痛みや苦しみをわかって欲しいわけじゃない
仲良しこよしになりたいわけじゃない
望むことはひとつ
〝救って欲しい〟
それだけです!

寂しい考えですけど…

翌朝、少尉は自身が持つ貴族の権威を振りかざし工事への協力を取りつけます。
工事自体は、村人に対しても利になるのです。トンネルが通れば帝国経済復興への一歩となり、復興されればその利はいずれ村人にも巡ってきます。そもそも、工事自体が仕事のない村人への仕事の斡旋になるわけです。村人だってそんなことはわかっているのでしょう。ただ、以前裏切られた軍への不信感、長く続く戦災等、何かに対して憤りをぶつけられずにはいられなかった。
正しいことを為す人は寂しい人なのかもしれない。それでも正しいと信じたことを行うのです。ヘタレな主人公じゃないでしょう。
まあ、最後に村の子どもを命がけで救うドラマを入れるのはご愛敬ですが。

本来、このマンガの見どころは、戦車という凶器に、身ひとつで向かっていく狂気なんですけどね。それを作者の粗い絵でむりやり説得力を持たせている。それもいいのですが、それだけでは買うまではいかなかった。私好みの物語を展開してくれそうだ、という期待での購入です。
でも、家人には予想通り評判悪かったので、オレ専用本棚行きは決定です…

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