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恐るべき旅路

星空を見あげて

タイトル恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―
販売:朝日ソノラマ 松浦 晋也
価格\1,400 (定価:\1,400)
媒体:単行本
通常1~2週間以内に発送
おすすめ度★★★★★
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当方がものごころついたころ、祖父はすでに働いておらず家にいるおじーちゃんだったのだけど、大工だったらしい。どおりでうちには工作用の用具が多いと思った。まあ、今はさすがに祖父時代からのってのはほとんどないけど。
それが関係しているかは知らないが、技術屋さんへのあこがれってのは昔からあった。
自分の腕一本で生きているというか、己の仕事へのプライドの持ち方とか。後、一匹狼ぽいのだけど変に義理堅いみたいなところ。
だが、あこがれはあこがれであってラジオの解体もろくにできなかった当方には技術屋さんへの道は遠く、なまけものの当方にぴったりの給与生活者として生活しております。
プロジェクトXも技術屋さんの回が好きだったのは、ここらへんが原因でしょうな。

まあ、街の大工とロケット工学はまったく違うのだろうから、一緒くたに語るのはダメでしょうけどね。でも、本書を読んで当方があこがれていた技術屋さんたちと同じ臭いを感じたんですな。少ない予算と限られたチャンスと制約。困難に対して己の能力を信じ立ちむかうのぞみプロジェクトチーム。熱い、いいねこの展開。
惑星探査機やロケットに関して勉強になる記述が豊富なのですが、当方みたいななまけものはそういうお勉強になる箇所を読むのが苦痛だったりする時があるのですな。でもプロジェクトチームに感情移入して読める展開のおかげで、彼らが立ちむかっている困難の度合いを知りたいという欲求が勝り、さくさくと頭の中に入りましたよ。

失敗した事業の本ということで興味を持って買ったわけですが、結局のぞみが失敗した根源はお金がないってことですね。あさりよしとおのマンガワッハマンで、ロケット打ち上げの失敗会見で打ち上げ責任者が記者の質問に予算がないせいですっ予算がないせいですっ予算がないせいですっ、ってのみ言って問題をうやむやにというシーンがあったけど、あれって宇宙事業関係者にとってはあまり笑えない話なのかもなぁ。
宇宙開発なんていう庶民には直接の恩恵がない事業を進めるには、広大な宇宙に挑む我々っていう物語が一番わかりやすいのじゃないかな。宇宙に夢を取りもどせってな感じで。

夜空の星がきれいな季節です。窓の外の星を見ながら読むにはぴったりかも。

関連リンク

松浦晋也のL/D著者のブログです。小惑星探査機のはやぶさに関する話題が豊富。

タイトル月をめざした二人の科学者―アポロとスプートニクの軌跡
販売:中央公論新社 的川 泰宣
価格\819 (定価:\819)
媒体:新書
通常24時間以内に発送
おすすめ度★★★★☆
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本書にも出てくる的川泰宣さんの著書。こちらも宇宙を目指す男たちの物語です。おすすめ。

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