出張が長引き、帰宅時の渋滞に巻き込まれるのがイヤだったので映画を見てきましたよ←さぼりの口実
良い。
出てくる妖怪の造形と数がバカに力入ってて、良い。
キャスティングがバカバカしくて、良い。(宮部みゆきの先生役は意外に良かったな)
ストーリーがバカで、すこぶる良い。
パンフがバカにでかくて、良い。
最後の敵の倒し方が、非常にバカバカしくて、良い。
妖怪大戦争は、実にバカな傑作映画です。
まあ、すばらしい映画ってだけで十分なんだけど、ちょいと蛇足で、まとまらないことをつらつらと。
ゆうきまさみが横山光輝『鉄人28号』が好きな理由を、大人が描いたマンガだからと言っていた。どういうことかといえば、大人が子どもに降りていって同じ目線で考えるのではなく、大人が大人として、知恵の限りをつくして子ども向けマンガを描いていたおもしろいマンガということなんだと思う。うーん、説明が難しいな。くわしくはゆうきまさみのはてしない物語を参照のこと。
この映画も、その感じだ。大人が大人として、いかに子どもを怖がらすか悩ませるかを、知恵の限りをつくして撮った映画なのだ。
機怪に子どもが襲われる場面。あのトイレに行こうとして、ドアを開けた瞬間ビュッと襲われるってのは恐ろしい。子どもにとって夜にトイレに行くのは恐ろしいことだ。個人的なことだが、うちのトイレは家の外にあるので、夜にトイレへ行くためには家の外の暗闇にいったん出ないといけない。毎回恐ろしかったのを覚えている。この演出は、トイレに行きたいのに怖くてがまんしてしまう子どもを増加させようとする試みだ。子どもに観せるために、残虐表現は使えないので、こういう怖さ表現になったのだろう。でも、妖怪映画としては残虐表現よりもあってるし、すごく怖いよっ。
人間の無力さむださが描かれてて良かったなぁ。
最後の敵を倒したのは、主人公の友だちをめちゃくちゃにされたことによる復讐心でもなく、人間世界(姉や親)を守りたいと願う正義の心でもなく、ただの偶然なのだ。この映画では人の心や思いなど無力なのだ。いわんや、最後には川姫により、人間のもっとも人間らしいところが全否定されてしまう。
他の場面で、機怪に捕まった仲間を助けようと警官が機怪に発砲するが、当の仲間にあたってしまう。人の思いなど、いかに無力なものか。世界を救ったのはなーんも考えていないお祭り好きの妖怪だったとさ。
最後にはスネコスリと感動の再会っ、みたいなラストでなくて良かった。
人が特別なのは、夏のあの日だけなのだ。永遠と続くはずの夏休み。しかし、いつの間にか夏休みは終わってしまっている。どんな人も、いつかは永遠の夏休みを終えてしまう。永遠の夏休みに居続ける人は、それこそ人でなく妖怪だ。だから、みな大人になり妖怪は見えなくなる。
だけど、人は自分が妖怪が見えなくなったということに原罪みたいな罪悪感を持っているのかもしれない。人は幾多の死の上に立っているのだけれど、自分の足下の死を見つめているだけでは、生きてはいけない。足下の死を踏みにじってでも進んでいく力が夢とか希望とかで、そうやって人はどうにか生きている。でも、どうしても足下の死を見つめ続けてしまう人もいて。そういった者の象徴が加藤保憲なのかもしれない。
麒麟送子という特別な子だって、いつかは大人になって、一番の友だちさえ見えなくなってしまう。今はまだ子どもでも、いつかは大人になってしまう。これは子どもにとっての一番の設問だろう。
あと、川姫とアギのエロさはいいね。煩悩を刺激するよ、あれは。
パンフ、やっぱり買いました?私はもうパンフを買わなくなって久しいのですが、このパンフは欲しくなって買ってきました。で、眺めて楽しんでます。
一昨日だかの深夜、絵本作家の木村祐一がテレビに出ていて、絵本を書くときは真剣勝負です。子どもに寄り添ったりしない、大人の目線でしっかり書いて、言葉を分かりやすくしていくんだ、というようなことを言っていましたが、これも、子どもにも分かりやすいけれど、大人が真剣勝負して楽しんでつくっている。
見る方も、めちゃくちゃ楽しめる映画ですよね。私は自分のブログに小難しいこと書いてますが、理屈抜きで、一緒にお祭りで躍ったっていい。いや、その方がずっと楽しいに決まってる。見ているときは私もお祭り騒ぎでした。
加藤保憲となんかあったのですか^ ^?
私は帝都物語はちょこっとしか見てないし、原作は途中で止まってしまったので、加藤についてはよく知らなかったりします…
パンフは前はさっぱり買わなかったのですが、去年あたりから映画鑑賞をぼちぼち再開して、よい映画だと思ったら買うようにしてます。そうですね、なにせ妖怪映画ですから、何も考えずにすなおに楽しむのが一番です。お祭りですよ。
なんかあったって(^^;
ラストシーンで加藤がまた亡霊のように(怨霊だから亡霊そのものか^^;)出てくるじゃないですか。次にどこに出てくるのかなと思っただけです。
やはり妖怪映画は楽しむに限りますね。
なるほど。そういうことですか。
けっこう評判がいいので続編が作られるかもしれませんね。
TrackBack URL for this entry : http://taigo.blog1.fc2.com/tb.php/139-9a8e3af3