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遺したもの

訃報:小倉昌男さん80歳=ヤマト運輸元社長

当然当方は御本でしかつながりがないのだが、読むたびに良い本だなと感じることができた著者であった。
最後に読んだ本は【福祉を変える経営】(だったと思う。当の本は人に貸して返ってきていないので)だった。

小倉さんはヤマト運輸引退後、ヤマト福祉財団を設立し、障害者の保護を重点を置いたそれまでの施策から脱し、障害者が働ける職場でありながら、ちゃんとした利益をあげることができる会社を設立し、真に障害者が社会に参与できる社会の構築に尽くしてきた。
この利益をあげることができるというのが重要だ。
障害者施設だけのことではないが、福祉施設は行政の補助金頼みの一方であって、自力ではとうてい立ちゆかないものばかりだ。りっぱに見える施設も、それは補助金を受けることができる“ちゃんとした団体”だからこそ運営できるのであって、最近はやりのNPO等がすぐにどうこうできるものではない。
行政の補助金は、当然我々の税金からであって、受給するためにはある一定のハードルをクリアしなければならない。そのハードルをクリアしたとしたとしも縛りは多く、小回りが利かなくなる。
今後、税収が減収していく一方のなか、補助金頼りの福祉は早晩立ちゆかなくなるだろう。

だからこそ、きちんと利益をあげることができる職場を、障害者に提供しようという小倉昌男の思想は正しい。
障害者は当然ただのかわいそうな人ではなく、他者とつながっていたい、社会に参加したいという欲望を持つ一人の人間である。
彼ら彼女らの受け皿を作ることが、自分の晩年の使命と小倉さんは悟ったのだと思う。

本書では、障害者が働けかつ利益をあげることができる会社『スワンベーカリー』を中心に話を進めていく。
今までの障害者の施設のどこが間違っていたのか、どうすればいいのかを実践的な例によって解説していくので、すこぶるわかりやすい。
障害者の製作所で作る小物はいったい誰が買うのか?必要なのは何が作れるかではなく何が売れるかという考え方、今までの障害者が働ける施設は、ほとんどの従業員が障害者で健常者の割合が少なかったのを、理想を言えば1:1までにすることが成功の秘訣である等々、非常に興味深い内容だった。
この分野に興味がある方はご一読をおすすめする。
介護保険が導入され、介護サービスが事業としてどっと広がったが、障害者の支援に関する分野も介護保険と同様な状態へという法改正がなされようとしている。読んでいて損はないだろう。

彼岸から、自分の遺したものを見守っているであろう小倉氏の冥福を祈る。

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