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天才伝説 横山やすし

天才伝説 横山やすし
小林 信彦
文芸春秋 2001-01


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理性的で個人主義者の作者が評伝を書くとどうなるか、という好例。
「作家」小林信彦の目から見た横山やすしが書かれている。
やっさんはなぜあんなに攻撃的だったのか。
そもそも横山やすしとは何だったのか。
それを作者と横山やすしとの関わりのなかで解き明かしていく。
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夕凪の街 桜の国

後日、ちゃんとした書評を書きたい、と思わせる本。
夕凪の街桜の国
こうの 史代
双葉社 2004-10


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『ヒロシマ』を経験した者にとっても原爆とは、ふとした時に思いつくくらいのモノになってしまったと思う。
自分の祖父や祖母が実際に被爆者だったりするのにだ。

唯一の被爆国。長崎とともに、被爆地として世界に平和の鐘をならす。
世界でも、通じる都市名『ヒロシマ』

それが当たり前になりすぎたのかもしれない。
現在、被爆者は国の手厚い保護政策により、医療費はかからず、健康管理手当などの手当金もある。昔は被爆者と見られるのがイヤで、被爆者手帳を申請するのを恐ろしがっていたのが、今では医療費がタダになるからと申請をし、却下されればなぜかと無念がる。
もはや、被爆者も高齢化し、その死因が高齢によるものか、被爆が原因なのかもわからない。
もはや、原爆は過去のモノになりはてた。原爆を声高々に歌い上げるのは、平和教育大好きな教師か運動家だけ、という感覚が若い世代にはあるように感じてしまう。

しかし、比治山にある研究所には、被爆者の診断記録が今も集められ、アメリカに送られている。
おそらく原爆被爆者の二世に対する政策が近々本格化するだろう。二世自身の国の保護を求める心と、原爆の効果を研究しようとする思惑がかさなって・・・・・・

平和公園を通るとき、本通りを通るとき、ふと思うのだ。
六十年前はこの地は、地獄だったのだと。

だが、それだけだ。
今は、本通りに多くの店が建ち並び、平和公園には外国人観光客と年々減っている修学旅行生がやってくるだけだ。
次の瞬間には、ただ今の豊かで生ぬるい今を生きている。

多くの死体の上を歩きながら。



カミナリさまはなぜヘソをねらうのか

カミナリさまはなぜヘソをねらうのか
吉野 裕子
サンマーク出版 2000-12


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吉野裕子はいつもまじめな本を書いているので、興味があってもなかなか読まなかったのだが、本書は実に読みやすい。
陰陽五行について書いてある。
タイトルのカミナリ様がヘソを狙う理由、桃太郎のお供はなぜ猿・雉・犬なのか、なぜ土用の日にうなぎを食べるのか、浦島太郎の玉手箱とは何かなどのことを陰陽五行で説明していく。
どれも大変興味深くおもしろかった。
私たちのごく身近なところに、陰陽五行という思想が存在しているのだ。
ちなみにこの前読んだ、小野不由美の『十二国記シリーズ』にも陰陽五行が見られる。
青海、赤海、黄海、白海、黒海、令艮門、令巽門、令坤門、令乾門などがそうである。

共有テンプレート

テンプレートを変更してみました。
共有テンプレートにすばらしく良いモノを見つけたので、即DLさせてもらいました。
本好きには、ぴったりのテンプレですね。
作者はかよちーのさん。
かよちーのさんのブログ【ブック☆オン

こういう風に自分でページを作ることができればいいんですが、私の腕ではとてもムリだなあ。ホント、うらやましい。
とりあえず、最近買ったHTMLとスタイルシートによるWebサイト作成術でも、もう少し熟読しよ。半分くらい読んで、とまってるから□\(.. )

大学で何を学ぶのか

大学で何を学ぶか
浅羽 通明
幻冬舎 1999-04


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さあ大学に入ったぞ、勉強しよう。という人要注意。そんな人はこの本をどうぞ。
勉強することは大事である。なぜなら勉強しないとおバカになっちゃうからだ。
しかし注意しないといけないのは、勉強すると幸福になれる、とは限らないということだ。
今までは、勉強してれば結果がでた。結果とは進学のことである。でも大学の次は(大学院または留学というてもあるけど)就職だ。就職という結果にはいままでの「おべんきょう」という方法論で立ち向かえるのだろうか。もちろん就職の先にある社会人なんてモノに対してもだ。
そんなことを考えずに今までの習慣で勉強してしまうと、ふと自分のやっている行為の意味が分からなくなって立ち止まってしまいかねない。(それで、そういう人はひきこもりか宗教にはしる)
そうならないためにも、このマニュアル本を読もう。
大学なんてやっかいなモノの正体までわかることができて、お得だ。
オススメ。

1月

そうなんだ、一月なんだよ。
新年なんだよ。
また歳とっちまうんだよ。

あぁ、なんか、自分でもわけわかんね。

とりあえず、あらためて、今が一月だと気づいたわけで。
なんで、年とるともに、一年ってのがはやくなっていくのかな(-_-)

仕事始め

知り合いのプログラマから聞いた話。

【うちは仕事始めの御神酒はドンペリだよ】

・・・(*`Д´)、ペッ!
なんだ、おまえはそれでいいのかっ。
社長の成金趣味にあやかれてそんなにうれしいかっ!

どうせ、うちのボスは焼酎だよ。しかもソバ焼酎。。。
負けてない、負けてない。負けてないんだからっぅっぅっぅっぅっ
あぁ、涙で何も見えないよお。

プロカウンセラーの聞く技術

プロカウンセラーの聞く技術
東山 紘久
創元社 2000-09


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みんな話すことが大好きだ。
相手の話を聞いているようで聞いていない。
相手が話している間、次に自分が何を話すかを考えている。
昨今、自己表現が流行りで、スピーチの仕方、話術の勉強にはよねんがない。
だが、本当に人と人との関係において大事なのは「聞く」ことではないのか。
聞くことによってのみ、相手のことを理解でき、相手の信頼を勝ち得るのだ。

これは、商いでもおなじことだ。
本当にできる営業マンはしゃべらない。
そのかわり、相手の話をずっと聞くのだ。
なぜなら誰もが自分の話を話したがっているだ。
聞くこと、すべてはそこからはじまる。

月の影 影の海

異世界と心への旅


小野不由美十二国記シリーズの第一巻。普通の女子高生陽子のもとに、突然ケイキと名乗る不思議な男が現れる。その日から陽子の生活は一変してしまう。ケイキにいざなわれるまま月の影を越えてたどり着いた所は、陽子の全く知らない世界だった。そこで陽子は異分子として追い立てられ、正体のわからぬバケモノに襲われる。突然異世界に流れ着いた陽子の運命は。ケイキとはいったい何者なのか。

――どこに帰るつもりだったのだろう。 待っている人などいないのに。陽子のものは何ひとつなく、人は陽子を理解しない。騙す、裏切る。それにかけてはこちらもあちらも何の差異もない。 ――そんなことは分かっていた。 それでも陽子は帰りたかったのだ


月の影 影の海〈上〉十二国記
小野 不由美
講談社 2000-01


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本書は、普通の少女がある日異世界に紛れ込み、そこでいろいろな経験をするという、ファンタジーの王道なストーリーである。


だが、本書の本質はそこにはない。
ビルドゥングス・ロマンなのである。


主人公の陽子は、異世界に一人でとりのこされる。

そして異世界の住人にことごとく欺かれることになる。
異世界ではじめて親切にされた人に騙され女郎宿に売られそうになる。
また自分とおなじく日本からこの異世界に流されてきた同胞にも騙され有り金を盗まれる。

そして誰も信用できなくなる。

死にそうになっている陽子に水を分け与えてくれた親子を信じられず遠ざける
怪我を直してくれた半獣楽俊をも信じられず、自分の巻き添えになり怪我をした楽俊を見捨ててしまう。


陽子は自分をも信じられなくなったのだ。
人は己を基準にして物事を考える。己が人を無条件で助けることができる人間だと信じられなければ、他人もまたそうだと考える。相手の親切の裏になにかあるのではと考える人は、自分が裏のある人間になっているのだ。困っている人がいれば手をさしのべる、そんな当たり前のことを『自分』はできると信じてやらなければ、他人の当たり前の親切を素直に受けることができない。

本当の意味で、陽子は孤独になるのだ。


そこで陽子は自分の過去を振り返る。
はたして自分は本当の意味で「生きていた」のかと。
波風を立てずまわりと同調することで、穏やかに生きてきた。そのつもりだった。ただそれは、まわりの人を最愛に思い仲良くやってきたのではなかった。単に人と対立するのが疎ましかっただけなのだ。目の前の存在に従うのは、敬っているからではなく、その人に対して己の正しさを主張するが面倒くさいだけだから。とりあえず笑っておけば状況から取り残されることもないし、何も言わなければ集団から浮き出ることもない。ただただ、状況に適応していきてきただけ。そんな過去に自分の生とよべるものがどこにあったのか。

陽子は異世界を旅することになるが、ひとりになることで己の内側へも旅立つことになる。
ただまわりにあわせていけばいいという状況から、誰も信じられず敵意あるものが襲ってくるという状況に置かれた陽子は、『自分』と向きあわざるをえなくなる。襲ってくるバケモノを自分一人でどう対応すればいいのか、目の前にいる初対面の人に対してどう対応していけばいいのか。問題の先送りはできない。なにせ自分の選択に自分の命がかかっているのだ。陽子は自分に何ができるのか、自分は何者なのかを考える。考えざるをえない。はじめて陽子は自分の中にある『自分』と対面することになる。


異世界での旅と、己の心への旅は、おなじことなのだ。本当の自分を探すという目的において。


あけましておめでとうございます

新年になりましたね。
昨年はホントに忙しかった。今年も当分は忙しいでしょう。

このブログも、前ウェブページからの移転が今月中には完了予定。
それ以後も同じくらいの更新ペースを保てればいいんですが。

さて初詣に行って来よう。